![]() |
会社分割とは、1つの会社を2つ以上の会社に分割し、分割する事業に関する資産を旧会社から新会社に引き継がせることです(新設分割)。 例えば、債務超過に陥った旧会社が負債を旧会社に残して、従業員を含む優良資産だけを他の新会社に引き継がせる方法です。 |
会社分割の場合、債権者の同意なく、債務を別法人に移転できます。他の方法を使う場合、債権者の同意が必要ですので、会社分割だけが債権者の債権放棄に依存しないことになります。実際に、債務超過に陥っている企業が、取引金融機関のすべてから債権放棄等の金融支援を受けることは決して容易な道ではありません。
そこで、会社分割を会社再建に活用するケースが増えているのです。
債権者の同意なく債務を別法人に移転できるとはいえ、債権者から不信感を持たれるようなやり方では、結局、再建に支障を来してしまうことが多いと言えます。また、債権者との間の契約内容を十分吟味せずに行っては、契約違反により解除及び損害賠償の請求を受ける可能性すらあります。最近、ネット上で「再生コンサルタント」等が、「債権者に知らせることなく会社分割を進めて負債処理ができる」、「会社分割を行えば簡単に負債の処理ができる」などと喧伝していますが、中には怪しい情報も飛び交っていますので、十分にご注意ください。
用語が混乱しており、ネット上や書籍でも「会社分割=第二会社方式」と書かれている場合があります。正確には、第二会社方式は、「産業活力の再生及び産業活動の革新に関する特別措置法」に基づき、中小企業が将来性のある事業を、新設分割により再生させる「中小企業事業承継再生計画」を作成し、経済産業省からの認定を受けると、税金の優遇、金融支援等の各種支援策が受けられるというもので、いわば会社分割に、行政認定と行政便益をつけ加えたものといえます。
会社分割と異なる点は、経済産業省に対する認定申請段階で、金融債権者の同意書を添付する必要があることです。また、第二会社方式では、会社分割によって新設会社を分離した後、債務者会社を破産ないし特別清算によって清算することが法律上の要件になっています。
会社法の改正後、会社分割を活用するケースは大幅に増えていますが、私達は、会社分割が債務整理・企業再生の場面におけるウルトラCであるとは考えていません。また、取引先を中心とする債権者から強い非難を浴びるような会社分割を行うと、結局新会社の事業も立ちゆきません。裁判所を使わない法的再建や私的再建の中で必要に応じて活用する、という方針であり、全体スキームの設計が最重要と考えています。
◆当事務所の再生事例 | ◆当事務所の特徴 | ◆ご相談の流れ | ◆事務所紹介 |